突っ支い棒




























何だかよく解らない。

いつからだったかも覚えていないが、

ただとにかく死にたかった。



何かに急かされるような焦燥がある訳でもない

何かに罪悪感を感じている訳でもない

責められるような不安感がある訳でもない

嫌なことがある訳でもない。



自分が他人に求められていないと感じることもない。

実際、自分の立場は要職で、今のところこの立場に変わる人間はいない。

それでも、その立場上死ぬのをやめようなどと思うこともなく、

死ねはしないものかと幾度も戦場に立ったが、今の所死ねていない。



ただ、ただ何となく死にたくて、

ここまで生きて来た。



































理由は解っていた。

あの戦争が終わって、目が覚めた瞬間から、

ただとにかく死にたかった。


ふとした瞬間に、身を焦がすような罪悪感を感じ、

頭の中に恨み言が渦巻いて、気が狂いそうになる。

今こうして生きていていいのかとどうしようもなく不安になる。

何ともない顔で話し掛けてくる知り合いも嫌だ。



どうして自分はここに戻ってこなくてはならなかったのか。

実際あんなに人を殺した、自分は処刑されるはずの身だったのだ。

それでも、刑は執行されずのうのうと生き続けて、

死ねはしないものかと幾度も戦場に立ったが、何故か生き残ってしまう。



ただ、ただひたすら死にたくて、

ここまで生きて来た。




































ここまで生きて、


突然、好きな人間が出来た。

けれど、死にたいと思う気持ちが消えるわけでもなく。


その人間と恋人同士になって嬉しかったが、

それでも、死にたいという気持ちは消えず。



もうこの気持ちは酷く馴染んで、

消えないものになっているに違いない。




それでも、「死にたい」などと

一度ですら考えたこともなさそうな自分の相手には、


そんな話も何もする気もなく。




それでも相手が自分を想ってくれる気持ちだけは

非常に感じ取ることが出来た。


自分が相手に向ける感情と、

相手が自分に向ける感情は、

きっと鏡に映したように同じだ。

そんな確信がある。






































だらだらと付き合いを続けて、

隣で眠る相手の寝顔を見ながら、

今日は死ねるか、どうやって死のうか、



そんなことをつらつらと考える。
























ああ、死にたい。

死んでしまいたい。




































けれど、この相手が死んだら





きっと死ぬほど悲しいと思う。














思うから、















だから、



























死ねない。


















































































2004.02.16





こんなサイスコは嫌ですよねえ!!(あんた自分で書いておいて)
死にたがるサイハーさんは以前もう書いたので
なんか違和感ありませんでしたが(爆)

このネタ、徹夜して死にそうになりながら皿を洗っていたらぽろっと
浮かんだネタです。
いや、人間ハイだと何しでかすかわかったモンじゃねえですなあ!
アハハ!(笑うなよ)
もう言い訳しかできません!





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