おつかれさまです。





「終わった…」

俺の隣でソファに埋まったままそう呟いたスコールは、
丸一昼夜不眠不休で睨み合っていたガーデンの今期決算の書類をテーブルの上に放り出した。
ドサドサと厚い束になってテーブルの上を占領する書類の枚数はハンパじゃねえ。
何も1人でやらんでも、とは思うが、それを思ってる張本人の俺が書類仕事をするこいつの横で
テレビ見たり本読んだり、タバコ喫ったりしかできることがねえから何も言えやしねえ。
スコールが向き合ってた書類は、ハッキリ言って数字の苦手な俺の手に余る。


「おー、お疲れ。悪ぃな手伝えなくてよ」

「悪いも何も…最初からあんたの頭はアテにしてない」


どんな時でも相変わらず可愛げのねえ口ばっか叩きやがるスコールは、
俺が2時間前に淹れたコーヒーを一口啜って不味い、と顔をしかめてから、でかいあくびをした。


「眠いか?」

「…そうだな。ちょっと肩貸してくれ」


問いかけに返ってきた言葉はもう既に半分以上寝ていた。
ずるずるとソファに沈み込み、俺の肩に頭を乗せて体重を預けて来るスコールの膝掛けにしていたブランケットを肩まで引き上げてやる。
眠くねえ筈がねえんだ。昨日の夜だって一睡もせずにごそごそやってたみてえだし。
まったくこいつは自分の身体をいじめるみてえな仕事しかしねえな…と思いを巡らせつつテレビを眺めていると、俺の肩に凭れて寝息を立てていた筈のスコールが不意にうんうん唸り始めた。
悪い夢でも見てんのか?と顔を覗き込んでみると、スコールは眉間に深く皺を作って目を開いた。
最高潮に機嫌の悪い顔だ。


「……ダメだ。全然眠れない」

「おいおい、大丈夫か?疲れてんだろ?」

「何か、疲れすぎて逆に寝られない…」


そう言って額を押さえてからもう一度目を瞑ってあっち向いたりこっち向いたりとゴソゴソしていたが、
観念したらしくそのうち上体を起こした。
そしてその状態ので座ったまま落ち着きなくまたコーヒーを啜る。


「どうした?」

「いや、別に…」


どことなくそわそわしたその動作を不審に思って訊ねてみたが、
書類をまとめたりまとめたと思ったらめちゃくちゃに積んだりと支離滅裂な行動をするスコールからは常套句しか返ってこねえ。
そして俺が頭の中を???で埋めてるうちに、スコールはついにブランケットを抱えたままソファから立ち上がった。


「どこ行くんだ?」

「トイレ」


声をかけると素っ気ない答えが返って来る。
素っ気ないのはいつものことだが、ここまで落ち着きをなくしてるこいつはあまり見ない。
一体どうしたってんだ?
そのまま背中を見送りそうになったが、立ち上がったスコールが一向に離そうとしないブランケットを見て、ピンと来た。
ピンと来ついでに、さっさとトイレに向かおうとしているスコールのTシャツの裾を掴んで力一杯引っ張った。


「うわ!…危ないだろ!あんた何…っ」


バランスを崩してよろめきかけた腰に左腕を回して更に引き寄せる、
そのついでに空いた右手をブランケットの下に潜り込ませると、スコールは息を詰める。
案の定、部屋着の上から触れたスコールのモノは、ガチガチに固くなっていた。


「疲れマラかぁ?」


からかい気味に指摘してやると、スコールの横顔は一気に赤くなる。
そしてもの凄い力で抵抗を始めた。


「うるさい!放せ!」

「いてーっ!!」


後ろ手に髪を掴まれて引っ張られるのは、かなり痛い。
涙がちょちょ切れそうだ…。


「てめ、ハゲたらどうしてくれる」

「ハゲたくなかったら、放せっ」

「ヤだね」


言い様、ズボンの上からぎゅっと握ってやると、髪を掴む力が僅かに緩んだ。
その隙を逃さずその手を取り、ぐいぐいと引っ張ってスコールのバランスを崩した。 重心を失ってよろめくスコールの腰を抱えて、くるりと体勢を入れ替えるとソファに押しつける。

いつもなら、俺が勝手にこいつに欲情して迫るパターンの方が多いから、こうして先にこいつがこんなんなっちまってるのは珍しい。
こんなチャンスを逃す手はねえ。


「勃っちまったから、トイレで1人で抜いて来ようってか?もったいねえ」


そう言って腰を覆っているブランケットを剥ぎ取ると、


「…何のつもりだ」


もの凄い不機嫌な面で睨みつけられた。
そこら辺の生徒やSeeDなら反射的に謝っちまうぐらい鋭い視線だが、生憎俺には効果ゼロだ。


「何、お前寝てえんだろ?この俺が親切にも抜いてやろうってんだ。そしたらスッキリ眠れるぜ?」

「…あんたが、抜くだけで終わる訳ないだろ」

「よく解ってんじゃねえか」


ニヤニヤと笑いかけながら言うと、スコールは小さな溜息と共に実力行使で抵抗しようとしていたらしい手を、だらりと落とした。

前に一度言ったらこいつには変態だの鬼畜だのと罵られたが、
俺はこう、弱ってるこいつに弱い。
ケガをしてるだとか、疲れ切ってるだとか、具合が悪いだとか。
こいつ特有の気迫が薄れてるのを見ると、無性にムラムラきちまうんだ。コレが。
我ながらアレだとは思うが、欲情するモンは仕方がねえ。

それに、こんなにすぐ抵抗をやめたってことは、こいつも満更じゃねえってことだ。
忙しさにかまけて恋人らしいことができなかった不満を抱いていたのは俺だけじゃなかったっつーことが、妙に嬉しい。
こいつ相手だと、嬉しさもひとしおだ。

ソファに座ったスコールの正面に回って、そこに腰を落ち着ける。
取り上げたブランケットをぽいと放り投げつつ、スコールのズボンに手をかけた。


「ちょ…ここでするのか?」

「んー」

「…明かりくらい消せ」

「後でな」


この期に及んで尻込みするのを適当に流しながら、ジャージと一緒にそのまま下着も引き下ろす。
途端に膨れ上がっていたモノが飛び出してきた。
軽く握り込むと既に限界が近いらしいソレは、持ち主の意志を無視して嬉しげにヒクついてみせる。


「…うぅ」


こいつもコレくらい素直ならいいのによ…と思いながらゆるゆると擦り上げると、スコールは呻いてそのまま目を閉じた。

羞恥と興奮に白い顔を上気させて、綺麗な形の眉を苦しげに歪めて長い睫を伏せている様は、
惚れた弱みを差し引いても壮絶に色っぽいと思う。
熱に浮かされるその表情をじっくりと観察していると、スコールが不意に目を開いた。
その視線が俺の目線とかち合うと、艶っぽかった表情は途端に不機嫌な面に戻っちまった。


「見るなっ」

「エロい顔…」


観察されてる事に気づいたのか、非難の声が降って来るが余計に羞恥を煽るような事を言ってやって、握り直す。
そしてそのまま裏筋を親指でなぞり上げると、睨みつけていた視線が熱に滲む。
その様を目の当たりにして、ついつい無駄口を叩きたくなる。


「口でしてやろうか?」

「…いらない」

「あっそ」


わざと扱く力を弱めて聞いてみると、予想通りスコールは憎々しげな口調で一言だけ吐き捨てて腰をもぞつかせた。
スコールは事の最中に何かを言わせられるのを極端に嫌がる。
それでもしつこく聞いていると、たまにだが何かしら発言することがあって、その時の居心地の悪そうな顔が俺は最高に好きだったりする。
嫌がる…ってことを理解しつつ質問したり、卑猥な事を囁いてみたりするのは、やっぱり我ながらアレだと思うが何だか癖になっちまってやめられねえ。

その表情を伺いながらニヤニヤしている俺に気づいたのか、スコールは更に居心地悪そうな面になった。
さっきよりは弱い視線だが、「見るなっつーの」というオーラは感じ取れる。
それを無視してじっと顔を注視してやりながら、指の動きを再開させた。
先端まで擦り上げるついでに、わざと先端の張り出した部分に指を引っかけると、
その刺激がたまらないと言わんばかりにスコールの目が細められ、投げ出されていた手が革張りのソファに爪を立てる。
素直な表情の変化を見て喉の奥から笑いが漏れる…と、スコールが突如動きを見せた。

ソファに預けていた上体をぎくしゃくと起こし、俺の肩に顎を乗せて腕を首に回すと、ぎゅっとしがみつく。
今日は何が何でも顔を見られたくねえらしい。
そのささやかな抵抗に妙な愛おしさが沸き上がって来る。

スコール自身を弄る手はそのままに、空いた手でシャツの上からも解るぐらいに形を立てた乳首を捏ねてやると、
じっとりと汗ばんだ身体がひくひくと痙攣し、しがみついた腕に力がこもる。


「ぅあ、あぁ…っ」


直接耳元で聞こえる押し殺した声に、否が応でもこっちも興奮する。
もっと喘がせたい、っつー気持ちと共に、さっさと突っ込んじまいたい気持ちが俺の中でも膨れ上がった。

緩やかだった指の動きを激しくして、スコールの弱い先端部分を重点的に攻め始める。
括れの部分を何度も擦り上げながら先端の窪みに沿って指先を擦りつけると、
俺の肩を掻きむしりながらスコールは反射的に首を振った。


「そ、そこっ…」

「イイか?」


目の前に晒された首筋に吸い付きつつ聞いてみるが、答えは返って来やしねえ。
その代わり、俺の胴を挟み込んで跳ね上がる膝と、生き物みてえに脈打つ欲望が、言葉以上に快感を物語っていた。
首筋に吹きかけられるスコールの荒い息が気持ち良い。

先端から溢れ出してくる先走りを掬い取っては側面に塗りつける作業を繰り返してるうちに、手の動きも段々とスムーズになる。
そのままぬるぬると全長を嬲ってやると、


「も…ダメだっ…」


しがみつく腕に更に力をこめながら、スコールは早くもネを上げた。
力一杯しがみついてくるこいつの姿は可愛いと思う、が。
こいつはやっぱり男で、傭兵で、腕力だって人並み以上だ。
そんなこいつに渾身の力でしがみつかれてみろ。さっきから肩の骨が悲鳴を上げてる。
…コレは、さっさとイかせてやらねえと命まで危ねえ。


「う、…っ!ふあぁッ」


先端の太い部分をぎゅうっと強く握り込むとスコールはぶるぶると全身を振るわせて、
包み込んだ俺の手に勢いよく生温い体液をぶちまけた。
噛み殺し損ねた声と、まだどろどろと溢れてくる精液の量がスコールの感じていた快感の度合いを表してるようで、思わずニヤけちまう。


「…派手にイッたな…そんなによかったか?」


はぁはぁと忙しない呼吸を繰り返す背中を抱き締めて撫でさすりながら聞くと、スコールは首に回した手で肩に爪を立てて来た。
いてえ、と呻きつつも、そんなささやかな抵抗も可愛いと思う。

とりあえずスコールの方は約束通り抜いたが、俺の方はまだまだだ。
スコールが落ち着いて弛緩し始めたのを見計らって、吐き出された体液に塗れた手のひらをさりげなく下に移動させる。
そしてそのままそれを尻の狭間に擦りつけると、スコールは小さく身を竦ませた。
それを宥めるように髪を撫でてやりながら、まずは中指を突き入れる。


「っう…」


流石に久し振りで痛いんだろう、スコールは呻き声を上げて背筋をこわばらせる。
内部もぎゅっと指を締め付けて来たが、引きつる内腿を撫でてやると、徐々にそれも治まって来た。

久々とは言え、慣れたモンだ。
身体のこわばりも解けて、締め付けも緩む。


「あ…あぁ…っ」


差し込んだ指先で内壁を擦ると、スコールの様子が一変した。俺の首にしがみついたまま殺すことなく声を漏らし始める。
普段はさっきまでと同じく何が何でも喘ぐまいとしているから、やっぱり今日のスコールは珍しくもかなりキてるらしい。
上半身を預けて俺の指の動きに喘いでるスコールは、指揮官としてぴんしゃんしてる時とは大違いで、かなり可愛いもんがある。
まあ、言おうもんなら最中だろうが何だろうが鉄拳が飛んでくるから、口には出せねえけどな…。
それにしたって、普段とのギャップはそれだけで充分俺を煽る効果がある。
興奮の度合いを表して差し込んだ指で乱暴に内部を掻き混ぜると、しがみついた指が肩に鋭く食い込んで来た。


「っふあ、うあぁ…」


耳をくすぐるスコールの声をこっそり堪能しながら指を増やして更に奥へと進ませる。
熱くて滑らかな内部が締め付けて来る感触は、例え突っ込んでるのが指でも相当気持ちがいい。
あー、くそ。指だけでこんなんなら、今日はきっとすげえだろうなあ…早く突っ込みてえ…。
そんなことを考えながら掻き回しているうちに、こっちもだんだんまともな思考を保てなくなって来る。

あー、俺もそろそろヤバいかな…と思い始めた時だった。


「サイファー…俺もう…」


不意に俺の首にかじりついてひたすら喘いでいたスコールが掠れた声で言葉を発した。
何だ、またイくのか?今日は随分早ぇな…やっぱ溜まってたのか?
そんなことを考えてニヤけていると、不意にスコールの身体から徐々に力が抜けて、


「もう…ダメだ…」


消え入りそうな声でそれだけ言うと、腕の中でぐにゃりと力を失った。
崩れかける上体を慌てて抱き留めて体勢を維持するが、
だらりと腕まで投げ出した身体はそのまま何の反応も示さなくなっちまった。


「…おい?」


もしや…と恐ろしいことを考えた俺の耳に届いたのは…


「すー…」


案の定、寝息だった。

こ、こいつ…寝やがった!?


「…スコール?」


試しに何度か指を抜き差ししてみるが、まったくもってなんの反応もねえ。
聞こえてくるのはいたって平和な寝息のみだ。


「おい…マジかよ…」


血の気が引く思いで指を引き抜き、スコールの肩をつかんでゆさゆさと揺すってみるが、やっぱり反応ナシ。
その上俺の手を離れたスコールはそのままソファに倒れ込んで、やっと落ち着けた、とばかりに表情を緩めた。


「……俺のコレはどうしろってんだ!」


うおーい!!と行き場のない憤りをぐーすか寝こけている奴にぶつけてみるが、
中途半端に俺をほったらかしたままのスコールはもう夢の国から帰って来る気はねえらしい。
ぽやぽやした寝顔とむき出しの下半身を晒したままの格好でソファに埋もれている。
その凄まじい破壊力の光景から俺は慌てて目を逸らした。
確かにここんとこスコールとヤッてなくて、溜まりに溜まってる。
今現在だって、相当ズボンがキツイことになっちまってる。
だが…だがしかし。
こんなに無防備な寝顔を見せられて、そのまま突っ込んじまえる程俺は鬼じゃねえよ…。


「はー…………」


ずるずると座り込んで溜息をついてから、未練がましいことを考えようとする自分の顔を両手でバチバチと叩いて気持ちを切り替える。
しょうがねえ。もう今日は寝よう…。

妙な気疲れを押して慎重な手つきでスコールの上半身を起こしてやり、抱え込む。
そのままズボンと下着を引き上げてやって、ブランケットでくるみ直して抱き上げた。
意識を失ってぐったりとしたスコールは、細っこい割にはしっかりと重くて、俺と同じ内臓と筋肉がきっちり詰まってんだってことを実感させる。
それでもその重たい身体を文句も言わずベッドまで運んでやる俺は正に恋人の鑑だろう。




…まあ、1人でトイレに籠もる後ろ姿は…相当、情けないけどな…。
























2005.04.01

サイスコオンリーウェブイベント、「カテゴリーSS」に出品させて頂いたエロですけ…?
限定35分だけの公開でした!(死)

読んでしまった方、おつかれさまでした……orz

もう言い訳もデキナイヨ…。
こんなんでごめんなさい…。

スコールが寝落ちで、あいかわらず可哀想なサイファーさんのお話でしたとさ!

11月。
あまりにひどかったので修正…。
エロ部分とか全然変わってませんが!(爆死)







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