部屋の整理をしていたら、CDを見つけたんだ。

……まだ、あんたが俺の隣に立っていた頃、二人でよく聴いたCD。
俺は好きでもなかったのに、あんたが一日中かけっぱなしにしたりするから歌えるようになってしまった歌。












音と記憶















『スコール。サイファー、死んだって……』

『……そうか』

















あんたが質の悪い冗談のように俺の隣から消えた日。

あんたの死亡が伝えられても、俺は「そうか」としか言えなかった。
あんたの…遺体を見ても、涙は出なかった。

思ったことは、「先を越された」とか、「置いて行かれた」とか。



死ぬときは俺の目の届かない場所で、あっという間に死んで行くのだと俺に言ったのは、あんた。
















最初の3ヶ月は、あんたのことを考えないようにして過ごした。
4ヶ月目に漸くあんたの私物を処分して、あんたとの記憶をこの部屋から消した。


















そして、2年目。
部屋の整理をしていたら、CDを見つけたんだ。

あんたのことを忘れようと仕事に打ち込んで、そのCDをとっておいていたことをも忘れていた。

どうして聴こうなんて思ったのかはわからないけれど、


聴いてみて──、じわり、と胸が痛んだ。
あんたと喧嘩したこととか、馬鹿やったこととか、色々思い出して。
その痛みに、俺は苦笑する。











思うのは、本当にあんたがいなくなってしまったことと、
し切れない後悔のこと。














この歌を聴くことで、俺は少しでもあんたとの思い出に向き合えるようになっただろうか?


今なら、あんたの死に涙することは許されるのだろうか。





もしも俺がまた恋をすることがあっても、
この歌を聴く度に痛みを感じて、苦笑するだろう。












そして思うのは、
お互いまだ子供だったあの頃のこと。
どんなに走っても手の届かない場所行ってしまったあんたのこと。



胸が痛む理由。












歌を口ずさんで、苦笑して。
染み渡るような痛みが広がって行くのを感じながら。









どれだけあんたを好きだったか。


今でもどれだけあんたが好きか。













痛むのは、


俺がまだ、あんたに恋をしているから。



























なあ。
そうだろう?

















































2001.10.02


まさしく駄文。
最近これとよく似た経験をしましてねぇ。
恋愛ごとじゃないんですが。
「アイタ〜」てな感じだったのでその感覚をちと書いてみようかのう……(爺)
と思ったら大失敗なのでした。





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