それは


何の用意が出来ていなくても

本当に突然にやって来るもの
























"ほんのささいな偶然"
























それを、運命と言うらしい。















































久し振りに休暇を取って

ガンブレードの手入れをするため街に出た。

降水確率が80%の曇天は暗くて俺の気分を苛立たせる。

用事を済ませ気紛れに砂浜まで歩くと本当に雨が降り出した。

多くの人物がそう使ったであろう大木の葉陰に雨を避けて走り込むと、

そこに会いたくない人物がいた。





「よぉ、てめぇも降られたのか?」

「…ああ」

「お前降りそうなのにレザー着て外出んなよ。ダメになんぞ」

「…あんたには関係ないだろ…」

「んだとぉ?」

「うるさい。黙っててくれ」





雨が止むまでの1時間30分。

不思議と会話が弾んで互いに色んな意味で認識を改め合い。


















「スコール、付き合わねえ?」

「…ああ」


あれ以来よく話したり一緒に食事をしたりするようになったサイファーが

俺の好きな笑顔でそう言ったから、頷いた。














人間というものはほんのささいな偶然で人を愛するようになるものだ。

あの時ひどい雨でなかったなら俺はあの木の下へは行かなかったはず。










































任務から帰る途中の街で

いつもは引っかかることのない赤信号に引っかかった。

何となく急いで帰りたかった俺は青だった方の道へ進む。

そうして元の道へ戻る機会を得られないまま道を行くと、

来たことのない公園の前に出た。

そこで、サイファーが知らない女と抱き合って、キスをしていた。





「あんたが俺を愛することをやめるなら俺はあんたを愛し続けることは出来ない」

「…解ってる」

「本当に、解ってるのか?」

「…………」

「答えろ、サイファー」

「…………」





沈黙を続けること1時間30分。

互いにじっと動かず酷い圧力に耐え。


















「サイファー、別れよう」

「…ああ」


あれ以来話すことも一緒に食事をすることもなくなったサイファーに

好きだと言ってくれた笑顔で言うと、サイファーは頷いた。














人間というものはほんのささいな偶然で愛を失ってしまうこともあるものだ。

もしあの時信号が赤でなかったら、俺はあそこへは行っていなかったはず。










































たまには休暇を取りなさい、と

無理矢理休まされて気分転換に海へ行った。

薄曇りの空と青い海のコントラストに一時目を奪われる。

砂浜に腰を下ろして海を眺めていると、突然雨が降り出した。

多くの人物がそう使ったであろう大木の葉陰に雨を避けて走り込むと、

そこに、……いた。





「よぉ、てめぇも降られたのか?」

「…ああ」

「お前降りそうなのにレザー着て外出んなよ。ダメになんぞ」

「そうだな」

「お前、海の匂いがする」

「……ああ」

「…………」

「…………」


















































































2002.03.13


久々に書いてみたのでのせますです。
本当に久々で文が固…固い!!(笑)
これも某曲がモチーフとなっております。

すいません…これが駄文再び書き始めるきっかけになればいいのですが…
無理っぽいような、そうでもないような…あう…。





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