キス












サイファーはキスが好きだ。





好きと言うより、多分アレはもう癖だ。


















今朝、先に起きたサイファーが俺が起きるまで顔中にキス。

起きたら、「おはよう」と笑ってキス。

コーヒー入れて来る、とベッドを離れるときにもキス。




着替えてリビングに出て、また「おはよう」でキス。

朝食を作ってテーブルに運ぶ度にキス。

ごちそうさまのキスはさすがに遠慮して、

食器を洗い終わってキス。




任務に出るサイファーを玄関まで見送ってキス。

コートを着せて、キス。

靴を履いて、キス。

ガンブレードを持って、キス。

ドアを開けて、「行ってくる」で振り返って、キス。

「気をつけてな」でキス。






そして、今日の俺は休暇だ。






つけっぱなしのテレビをBGMに

ソファにだらしなく伸びながら今朝からサイファーと何回キスしたかを数える。

他意はない。

ただ暇なだけだ。




それにしても、本当に数え切れないほどキスをしてるなと、ある意味感慨深い。

サイファー曰く、3秒以上目が合うとしたくなるらしいが、

つきあい始めの頃は、キスする度に何かとても緊張した覚えがある。

今は別に、何ともない。

サイファーとつきあい始めてもう3年は経ったし、それだけあればさすがに慣れるものなのだろう。




そう言えば、いつだったか俺がキスに身構えなくなった、とサイファーが喜んでいた。

その時の顔が本当に嬉しそうで、俺も嬉しくなったものだ。




ずるずるとソファの上を移動して、いつもサイファーが収まっている場所に顔を埋めてみる。

案の定サイファーの匂いがした。

またあの嬉しそうな顔が見たいな、とおぼろげに思う。

ぼんやりとテレビ画面を眺めながら、サイファーとキスがしたいな、と思った。




















「おーい」


ぺたぺた、と熱いものが顔を叩く感触に目を開けると、目の前にサイファーがいた。


「あ…おかえり」

「ただいま」


寝てたのか、と思う間もなくキス。

そのまま着替えに行った背中を見送って、

俺はずっとサイファーとキスがしたいなと思っていたことを思い出す。


「サイファー」

「お…ん?」


ラフな服装に着替えて戻ってきたサイファーを手招いて、

近づいてきたところをソファに押し倒して。

ニヤニヤと見上げてくる顔中にキス。




髪にキス。

額にキス。

瞼にキス。

鼻先にキス。

頬にキス。

最後にちゃんと、唇にキス。




表情を伺うと、想像以上に相好を崩した顔があった。

初めてみる表情だな、と嬉しくなる。


がしがし、と嬉しそうなサイファーに頭を撫でられて、

またキス。


















何というか、サイファーを見ているだけで

キスがしたいな、と思ってしまう辺り、


俺もキスが好きなんだろうなあ、と思う。













































2003.08.19


そんなお前は病気だ!!
(12月現在読み返して心の叫び)

まあ…いつも薄ら暗いのばかり書いているので
たまには…!と思って書いてみましたところ、
恥ずかしさ満開な感じに仕上がりました…!

ひゃあぁ〜恥ずかしい。
すみませんすみませんもう謝るしか(何)
キスシーンって苦手で絵でも述べるでも意図的に避けて来たのですが
今回ついに解禁ですか!?
何かが!!(何が)

まあ…これも修業の一環として見てやって下さい…。

なにはともあれラブラブ書けて楽しかったです!





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