「スコール、この書類お願い」

「……ああ」

「こっちにサインお願いね」

「………ああ」







仕事部屋には、大きな窓があって
その窓は海に面している。


あの頃は、ガーデンにこんなに高い場所があるなんて知らなかった。






























何処に






























まだSeeDにもなっていなかった、あの頃

あんたは当たり前に俺の側にいて
何も知らなかったけれど、あの頃はそれだけで充分だった。


デッキに出て、昼休み中一緒に延々海を眺めているのが
俺たちの日課で、


そのまま、時が過ぎて行くと思っていた。




俺はあんたが好きで、


あんたも俺が好きだと言ってくれたのに、今




あんたはいない。













あの戦争が終わって、
あとはサイファーが帰って来ればそれでいいと思っていた。





けれど、
サイファーはガーデンに戻ることを拒んだ。

迎えに行った俺の顔を見納めだ、とじっと見て
あんたは俺に背を向けた。




そしてそれ以来、消息を絶った。




死んだと言う報告は入ってこない。
だからと言って生きているとも限らない。





探しに行きたい、
けれど、出来ない。





サイファー、
あんた、今、何処にいる?


















仕事を抜け出してブリッジに登る。

ガーデンで一番高い場所。



床に直接腰を下ろして
床以外の部分を占めるガラス越しに海を眺める。

サイファーはこうやって外を眺めるのが好きだった。


指揮官になって、あんたがいなくて、今、
あの頃あんたが見ていた場所よりずっと高いところから
あんたの好きだった風景を見る。


サイファー、悔しいか?
俺はこんなにいい場所を知っている。


でも、ここはこんなに高いのに
あんたの背中は見えないんだな。


俺はどうしようもなく、あんたが好きで。
そんなことに気づいても、今更










燦々と照りつける太陽が暖かくて、
サイファーの好きだった風景が綺麗すぎて。


この風景を眺めていたあんたの姿
あんたがどんな気持ちでこの風景を眺めていたのか
眺めながらどんなことを考えていたのか
何で今俺と一緒にここでこの風景を見ていないのか


考えているうちに何だかもうどうしようもなくなって、




あんたに会いたいのに、会えなくて

俺は



俺は




























今だけだ、
今だけだから。











ロックが掛けてあるのをいいことに
操縦桿に体重を任せ、

ガラスの向こうに続く眩しい草原と、
海を眺めて
















少しだけ


泣いた。


















































サイファー


あんた、今



何処にいるんだ。




















































































2004.03.02

たまにはこんなスコールも、と言うことで…

私、何故かサイファーさんは一人でいるイメージが強いので
それを書いてみました。
何でそんなイメージかと言われると自分でも謎なのですが…

でもやっぱり一人は寂しそうで可哀想なので誰かが側に
いてやらんと!と思うのでサイスコなのです。多分。(えええ)





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